成長曲線の活用
―標準と比べて確認を―
こども救急箱(239)
2014年4月、学校保健法が一部改訂され座高検査が廃止、子どもたちの発育の評価に身
長・体重曲線の活用が勧められるようになりました。16年に成長曲線が学校で配布されたこ
とで、身長の伸びの低下あるいは増加、低身長あるいは高身長で受診される方が多く見られ
ます。
現在使われている成長曲線は00年のデータを基に作成されています。ここ数年、日本人の
体格はほとんど変化していないためです。病院では日本人の平均からどのくらい離れている
かを見るために、平均値からの散らばり度合いを示す「標準偏差」で表示されたグラフを使い
ます。各学校で作成される成長曲線は、パーセンタイル法という表現法です。100名中何番
目に位置するかがわかります。
成長曲線を作成することで、全体の中でどのくらいの身長かということや、個々の成長の経
過がわかります。身長は出生後1年で約25a、その後は年に5〜7a、2次性徴を迎えると
年に8〜10a伸びます。その後2次性徴が完成するに伴って身長の伸びも低下し、大人の
身長になります。従って2次性徴の開始時期によって、グラフとも多少ずれが生じます。
高校生で伸びたお子さんは2次性徴が遅かったと予想されますし、小学生で伸びて中学生
では伸びなくなったお子さんは、二次性徴が早かったと予想されます。「身長が止まる」=「骨
の成長が止まる」ことですので、止まった骨の成長を再開させることはできません。気になると
きは早めの受診をお勧めします。
低身長だけでなく大きくなりすぎるときも病気が隠れていることがあります。作成された成長
曲線をうまく活用して子どもがどのように成長しているか、標準的な成長か確認してみてくだ
さい。
こども医療ネットワーク会員
溝田美智代(今村病院小児科)