こどもの視力低下

 

こども救急箱(24)                       

身体検査の時期がやってきました。なかでも学校生活に支障のない視力があるかどうかを判定するための視力検査

はとくに重要です。日本の統計では近視の割合が小学校で10パーセント、中学になると30パーセントといわれて

きましたが近視発症の低年齢化が進みこの比率も徐々に悪化しているようです。成長期には身長が伸びるとともに

眼球(眼軸長)も発育して大きくなる為に近視になりやすいという説があり、近視増加の理由と言われています。

またパソコンの普及やテレビゲームの流行も近視の進行を促進していると言われています。特にテレビゲームは、

近距離で画面上の細かな動きを追って見るために目のピント合わせの力が酷使されます。近くに合ったピントは目を

休めることで回復するとされていますが、長時間のテレビゲームでは回復が弱くなります。そのような状態が長期間

続くと近視へ進んでいく可能性が高くなります。

 次に子供の視力低下では遠視の比率が案外高いことを強調しておきたいと思います。遠視は遠くが良く見える良い目

だと勘違いしている人が多くいますが、実際は遠くも近くも見えにくい目なのです。度の強い遠視ではピント合わせが

できず視力が悪くなります。軽い遠視ではピント合わせができるため良い視力がでることがありますが、いつも目が

緊張しているため疲れやすくあきっぽくなります。乳幼児では内斜視を引き起こすこともあります。

 子供の視力低下の原因はさまざまですから、すぐに近視と自己判断して眼鏡店にいくのは好ましくありません。遠視の

子どもに近視の眼鏡をかけさせてしまう危険性があるのです。特に小さい子供ではその傾向が強いので、眼科専門医

できちんと検査した上で眼鏡の相談をしてください。

 

NPO法人こども医療ネットワーク  冨宿紀夫(吉野眼科クリニック)

平成19年4月24日 南日本新聞掲載