迅速診断キットにも限界が
こども救急箱(240)
最近、通園中の保育園や幼稚園などの保育施設で「○○の病気が流行しているので、検査
してから登園してください。」と言われましたと、子どもさんが受診されることが増えています。
感染症の病気を診断する時、子どもさんの周りで流行している病気の情報は大変重要です。
情報のおかげで診断が早く、治療につながるがことも少なくありません。
近年、インフルエンザを初めとして迅速診断キットの種類が増え、小児科クリニックの外来
で診断できる病気が増えました。しかし迅速診断にも限界があります。まず偽陰性の問題で
す。例えばインフルエンザであるのに検査が陰性のことが一定の割合でおこります。そのた
め陰性だからインフルエンザでないと断定できないのです。また医療の保険診療上、年齢や
他の条件の制限がある検査も多いのです。例えばRSウイルスの検査は、外来では1歳未満
のみ、入院した場合は3歳未満までしか保険診療では費用は支払われません。これはRSウ
イルス感染症が赤ちゃんや幼児では重くなりますが、小学生以上になると普通の風邪程度の
症状に軽くなるためです。
病気の診断は、症状や経過、周囲の流行そして体の診察から考え、疑わしい時に検査とい
う順番で進んでいきます。その病気は考えにくい場合でも検査しないと納得してもらえず苦慮
することもあります。迅速診断キットの限界を理解していただき、主治医の先生とよく相談され
て迅速診断の検査を受けられることをおすすめします。
医療法人たけのこ会 みなみクリニック
南 武嗣