側わん症
―調査票見て家庭で確認を―
こども救急箱(241)
側わん症は背骨がねじれて曲がってくる病気で、小・中学生で発症することが多く、特に女
の子に多いです。軽いうちは痛みもほとんどないために見逃されやすいですが、本来正面か
ら見たらまっすぐの背骨に湾曲が生じ、悪化してくると痛みや息苦しさが出てくることもありま
す。
特に幼少期に発症し悪化すると肺の成長を阻害し、将来的に呼吸困難を起こすこともあり
ます。そのためできるだけ軽症のうちに見つけて、適切な治療を開始することが重要になりま
す。
側わんの早期発見を目的に以前から学校検診が実施されてきましたが、診断率の向上の
ために、2016年度から学校検診の方法が変わりました。背骨や手足の骨や関節の病気を
見つけるための調査票をあらかじめ家庭に配布し、保護者にチェックしてもらいます。そして
学校での検診で再度チェックする訳です。
手足の病気の多くは痛みを初期から伴うために、見逃すことは比較的少ないと思われます
が、側わん症の初期は全く症状がないことも少なくありません。また学校検診では、恥ずかし
がって医師にしっかり見せてくれない子どももいますので、この家庭でのチェックは大変有用
です。
図は調査票のうち、側わん症に関する部分です。まっすぐ立った状態で肩の高さや肩甲骨
や腰のくびれに左右の差がないか、お辞儀をした時に背中や腰の高さに差がないかを見ま
す。服をつけた状態では見逃しやすいので、脱衣でのチェックの方が良いと考えます。
新しい学年が始まり、それぞれの学校が決めた時期に検診が実施されます。この機会にお
子さんの背中を見て心配だと思った人は、お近くの整形外科に行き、エックス線検査をして見
ることをおすすめします。
こども医療ネットワーク会員
山元 拓哉(鹿児島大学病院整形外科)