側わん症2

―早期の装具治療が効果的―

こども救急箱(242

 前回は側わん症の早期発見の重要性を書きましたが、今回は治療に関することです。側わ

んの程度はレントゲン写真で最も傾きの強い骨同士の接線のなす角であるコブ角で評価しま

す。25度以下なら特に治療は必要ありませんが、25度を超えると原因や状態に応じた治療

が必要になります。

 側わん症は、身長の伸びる時期に悪化しやすいという特徴があります。男女で多少の差が

ありますが小学校高学年から高校生くらいが、最も悪化しやすい時期です。ある程度以上悪

化してしまうと、成長期を過ぎてもさらに悪化するので手術が必要になることもあります。その

ためこの時期の悪化をできるだけ抑えることが重要となります。

 悪化を抑える、あるいは悪化のスピードを遅らせる治療として医学的に効果を証明されてい

るのは装具療法のみです。患者の体形に合わせて型をとり作製します。幼児や小児の場合3

〜4週間程度のギプス治療を組み合わせることもあります。

 装具はしっかりしたコルセットのようなものです。運動や入浴をする時は外して構いません

ので、部活動をやめたりする必要はありません。装着期間は身長の変化や体や骨の成熟度

で異なりますが、だいたい15〜18歳ごろまで装着します。

 体操療法やストレッチ、マッサージなどの理学療法や物理療法は痛みを予防し軽減させる

効果は期待できますが、脊柱の変形の進行に対する治療効果は証明されていないのが現状

です。

 早期に装具やギプスの治療を始めることで、手術を回避できたり、より負担の小さな手術で

の対処が可能になったりする可能性があります。側わん症が疑われたら早期に整形外科を

受診して正確な診断を受け、原因や状態に応じた治療を開始することが重要です。

 

こども医療ネットワーク会員

山元 拓哉(鹿児島大学病院整形外科)