多飲多尿
―トイレの頻度など確認を―
こども救急箱(246)
人間の体は体内の水分量を一定に保つため、主に二つの調節機構が働いています。一つ
は飲水量の調節、もう一つは尿量の調節です。
飲水量は通常のどの渇き(口喝中枢)により調節され、尿量は脳の下垂体という臓器から分
泌される抗利尿ホルモンによって調節されています。この調節機構のどちらかが破綻したとき
にたくさん水分をとり、たくさん尿が出ることがあります。このような状態を、多飲多尿といいま
す。
1日に2歳前後の体格で1600_g、9歳前後で3千_gくらい尿が出て、同じくらいのお水
を摂取している状況であれば多飲多尿と診断します。
多飲多尿の主な原因として糖尿病、尿崩症や心理的な要因があげられます。尿崩症は抗
利尿ホルモンの分泌低下や作用不全によるものです。尿崩症が疑われるときは脳腫瘍や脳
の炎症の一症状の場合もあり、詳しい検査が必要になります。
心理的要因の一つに乳幼児の習慣的な多飲もあります。乳幼児期に子どもがぐずったとき
にミルクなどの飲料を与えることで泣きやむため、つい与える水分量が多くなり、それが習慣
化してしまうことで多飲多尿となってしまいます。
これらの原因を問診や1回の検査のみで判断することは難しく、いくつか検査をする必要が
あります。
急に飲む量が増えた、尿量が増え、夜中に何度もトイレに行くようになった(おもらしするよう
になった)、夜中ものどが渇いて水がほしくなる―など、気になる症状があるときは1日何回く
らいトイレに行くか、どのくらい水を飲んでいるかなど大まかに確認してみてください。気にな
るときは水分摂取を制限する前に、かかりつけ医にご相談ください。
こども医療ネットワーク会員
柿本令奈(鹿児島大学病院小児科)