クルマの電子キーを子どもに渡さない
こども救急箱(247)
最近、クルマの電子キーによる閉じ込め事故が増えています。一例を示します。真夏の昼
12時頃、お母さんが3歳のお子さんをつれて外出しようとしていました。後部座席のチャイル
ドシートにこどもを乗せて、後部座席のドアを閉め、運転席に回ろうとしたとき、こどもが持って
いた電子キーのボタンを押してしまい、車の中に閉じ込められました。
電子キーは車内でロック操作したら外部からは開けることができません。ロードサービスを
呼ぼうとしましたが20分程度到着までにかかるということで、救急車を呼び、消防車がガラス
を割って救出しました。約20分でしたが子どもはぐったりしており、病院で点滴を受けました。
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が行った実験では、気温35℃のもとで閉め切った車内
の温度は30分後に45℃、1時間後には50℃を越えました。乳幼児は体温機能が未発達で、
高温下では短時間で体温が上昇し、生命の危険にさらされることもあります。
また、環境省のデータでは車外の温度が25℃前後でもエアコンを切って窓を閉めた状態で
は50℃、1時間後には58℃に上昇していました。車の座席に成人が座り1時間後には36℃
の体温が38℃となっていたそうです。
クーラーをかけているから大丈夫というわけではなく33.6℃の真夏日に駐車中の車でエアコ
ンをかけ続けても車内の気温は37.6℃まで上昇しました。エアコンをかけているから大丈夫と
いうこともいえません。
ある調査で、車内にこどもを残したことがあると答えた保護者が28%いるというデータが示
されたことがあります。今寝ているから、少しの間だからという油断は危険です。
子どもを車内に残さないこと、電子キーは運転者が管理すること、当たり前のようですが、
事故につながります。十分注意して行動しましょう。
こども医療ネットワーク会員
山元公恵(鹿児島たんぽぽ小児科)