発熱と熱さまし(解熱薬)その1

 

こども救急箱(25)

赤ちゃんは生後6か月を過ぎるとお母さんからの免疫がほとんど無くなるため、感染症にかかって

よく熱をだすようになります。こどもさんが熱をだすと、ご家族としてはとても心配されます。

病気(感染症)にかかると何故熱が出るのでしょう?体は体内に入ったウイルスや細菌を退治しよう

と体温を上げて対抗して熱をだしているからです。発熱は体の免疫力(抵抗力)を高め、さらにウイルス

や細菌の居心地を悪くして、病気を早く治そうとする生体防御反応のひとつなのです。体温を上げる時は、

皮膚が冷たくなり熱が外に逃げないようにします。また、筋肉を震わせて熱を産生します(悪寒戦慄)。

こうして感染に対応した体温まで上昇したら、今度はそれ以上に上がらないように筋肉の震えを止め、

皮膚を温かくして熱を体外へ出すようにします。

熱さまし(解熱薬)は、この感染症に対する体の防御反応を妨げるものですので、出来れば使用しない

方が良いと考えられます。せっかく目標体温まで上昇させたのに熱さましで3℃も下げてしまうと、その

効果が切れた後にまた体温を目標値まで上昇させなければならず、より強いストレスを体に強いる事に

もなります。健康なお子さんでは39℃以下なら熱さましはほとんど不要です。「熱が続くと頭がやられる」

と心配される方がいらっしゃいますが、髄膜炎や脳炎による発熱でなければ、41.5℃以上の高熱が続かない

かぎり、熱そのもので脳障害がおこることはありません。体温が上昇する時には本人が寒がりますので、

お部屋を暖めたり手足や体が温かくなるよう着衣を増やしたりして体温上昇を助けるようにします。

体温が上がりきって本人が暑いと感じてからは、適度な水分補給と環境調整(蒸し暑い環境を避ける)で

様子を見て、安易に熱さましに頼らないようにしましょう。

 

特定非営利活動法人こども医療ネットワーク理事

奥章三 (鹿児島こども病院院長)

2007年5月14日 南日本新聞掲載