熱性けいれんについて
こども救急箱(250)
けいれんをみたらどうしたらよいか、対応方法の詳細を知っている人は少ないですし、普通
に生活している場合にその必要を感じることは少ないように感じると思います。もし我が子
にけいれんが起こったら、たとえ知っていてもパニックになるのは当然です。けいれん性疾
患は子ども病気としては意外に多く、実は多くの保護者が子どものけいれんを経験をして
います。
特に多いのが、熱が出たときに発症する、熱性けいれんと呼ばれるけいれんです。約10人
に1人に見られ、そのうちの約1/3は発熱時に繰り返すことがあります。主に幼児期に見ら
れ、インフルエンザなどで高熱になるときに起こります。白目をむいて全身を強直させ、ガク
ガクと震えます。ときには泡を吹き、顔も真っ青になるので、「死んでしまうのでは?」と焦り
ます。現実には、アタフタしているうちに数分で収まり、そのまま眠ってしまうことも、あるい
は親を求めて泣き出すこともあります。
熱性けいれんはその場限りのことがほとんどです。基本的には数分以内で収まり、意識の
回復も良好です。また熱性けいれんを繰り返しても後々に障害を残すことはありません。舌
を噛むこともほとんどないので、指を入れるとかえって危険です。慌てず落ち着くことが大
切です。唾液や吐物を誤嚥や窒息しないように顔・体を横に向け、発作の様子を観察してく
ださい。
稀には、急性脳症や髄膜炎などの後遺症を高頻度に残す重篤な疾患が、けいれんの原因
のこともあります。10分以上長引くもの、意識の回復が悪いもの、一度の発熱で何度も繰り
返すもの、右左で違う動きをするようなものは、単純な熱性けいれんではない可能性があ
ります。このような場合には、脳波を始め詳しい検査を勧められると思います。
けいれんを過度に恐れることはありませんが、不安な時には専門医に相談しましょう。
こども医療ネットワーク会員
渡邉健二(らららこどもクリニック)