発達障害
-正しい理解と支援を-
こども救急箱(252)
近年、発達障害という言葉をよく耳にすることがあるかもしれません。発達障害の説明は簡
単ではないですが、発達の過程で明らかになる行動や言語、コミュニケーション、社会適応な
どにおける障害で、病気ではありません。
支援していくためには、共通の定義が必要です。2005年に施行された発達障害者支援法
には「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性
障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するも
の」と定義されています。
発達障害は生まれ持ったもの(=特性)であって治すものではありません。問題なのは、そ
の特性によって日常生活で困ってしまうことが起こることです。そのままでは本人も大変です
し、周囲(家族や学校など)も影響を受けます。特性による困りごとに対しては、早期に支援す
ることでうまく適応することが可能なので、発達障害を理解し早期に気づいて支援することが
重要です。
併せて病院での診察が必要な場合があります。発達障害の原因は不明ですが、一部には
染色体や遺伝子に起因する病気が隠れていることがあり、画像検査やエコー検査などを行う
こともあります。またてんかんや内分泌疾患、先天代謝異常症などで発達障害と類似した症
状を示すことがあります。
かかりつけ医に診てもらい、地域の基幹病院で、隠れた病気の診断が必要な場合もあるこ
とを知ってほしいです。
社会が発達障害を正しく理解し、必要な人が必要な支援を受けられることで、みんなが住み
やすい社会ができると思っています。みなさんの発達障害への理解が深まっていけば幸いで
す。
こども医療ネットワーク会員
丸山慎介(鹿児島大学病院小児診療センター)