発熱と熱さまし(解熱薬)その2
こども救急箱(26)
解熱薬は使わないのが基本と前回に紹介されましたように、高い発熱があっても、本人にある程度
活気があり水分摂取が十分にできている時は解熱薬を使う必要はありません。しかし、日常の診療では
発熱に対して解熱薬をもらうことがあると思います。実際に解熱薬を使うのであれば、どのように使う
べきか考えてみましょう。
何度以上が発熱かという定義は実は曖昧です。時間帯によっても、食事や運動によっても体温は変動
していますので、平熱を知っておくことも必要でしょう。39℃や40℃という数値自体はそれほど問題で
はなく、38℃以上の明らかな発熱の持続時間と全身状態がもっとも問題となります。発熱のために体力
を消耗し、見るからにぐったりして食事や水分が摂れないような時は、解熱薬を使うことを考えても
良いかもしれません。
解熱薬を使う目的は、熱が下がって楽になったときによく眠り、水分を摂取して体力の温存を図ること
です。解熱薬を使うことは、発熱の原因となっている病気自体を治すことではないということを理解して
いただくことが最も大事なことでしょう。
発熱の原因となっている病気がよくならないと、いくら解熱薬を使っても、熱はまたぶり返します。
そのため、熱がでる度に解熱薬を使うということは無意味なことと思われます。前回にも紹介されました
ように「体温上昇という生体防御反応」(増殖しようとするウイルスや細菌を退治するために体温を上げて
対抗している)を抑えてしまう可能性もあります。
解熱薬もいろいろな種類がありますが、日本小児科学会ではアセトアミノフェンを推奨しております。
よく使われるアセトアミノフェンには、粉薬、水薬、錠剤、坐薬があり、子どもさんの成長・発達にあった、
また、好みに応じた剤形の選択が可能です。
以上が解熱薬に対する基本的な考え方です。分からないことがある場合はかかりつけ医とよく相談されて
ください。
特定非営利活動法人こども医療ネットワーク
新小田雄一(鹿児島大学病院)
2007年5月28日 南日本新聞掲載