溶連菌感染症
−服薬は確実に−
こども救急箱(27)
溶連菌感染症は、A群β溶血性連鎖球菌の感染による病気で、主にのど、ときに皮膚にも感染を起こします。
感染はつばが飛んだりして口からうつる飛沫(ひまつ)感染です。三―九歳ぐらいの子どもに多く典型的なの
どの症状が出現する病気ですが、〇歳児や大人でもかかります。
溶連菌感染症は、咽頭・扁桃(へんとう)炎が現れるものが大半を占めます。強い発疹(はっしん)を伴うものは
「しょう紅熱」と呼ばれ、現在では少なくなっています。潜伏期は二―五日です。溶連菌にはタイプが何十種類も
あるうえ、一度かかっただけでは十分免疫ができないため、何回もかかることがあります。冬季と春から初夏に
かけて感染が多いようです。
症状は、のどの痛みが強く発熱や微熱があり、体や手足に発疹が出たりします。時に腹痛や吐き気、頭痛をもよお
します。舌の表面がイチゴのように赤くプツプツ(苺状舌)となったり、首のリンパ節がはれたりします。回復期
に指先の皮がむけることもあります。皮膚に感染をおこすと「とびひ」になったりします。まれに肛門(こうもん)炎
や膣炎の合併もあります。
のどの所見が特徴的なので、のどを見ればほぼ診断できます。お子さんの周囲の流行状況も参考になります。
現在は五―十分程度で診断できる検査も普及し、九十%以上は診断可能です。溶連菌感染症は約二十五%の確率で
家族にうつることもあるので、兄弟や両親に同様な症状があれば、受診した方がよいでしょう。
治療には主にペニシリン系の抗菌薬がよく使われ、十日間続けて飲むことが必要です。症状は抗菌薬を飲み始めて
一日二日でよくなりますが、途中でやめてしまうと再発したり、急性腎炎やリウマチ熱を起こすことがあります。
これらの合併症を起こさないために、症状がなくなっても最後まで飲むことが大切です。
NPO法人こども医療ネットワーク
村上直樹(村上こども クリニック)
平成19年6月18日 南日本新聞掲載