要観察歯
−そのままだとむし歯に−
こども救急箱(29)
幼稚園や小・中学校で歯科検診を受けた後、歯の治療勧告書を受け取ったことがあるでしょうか。
その中には、むし歯の有無、歯並び・かみ合わせ、顎(がく)関節の状態、歯ブラシの状況、診察を
要する乳歯などの項目と並んで「むし歯になりやすい歯があるので注意しましょう」とか「要観察歯
(CO)があります」と書かれていることがあります。また、母子手帳などにCOと記載されている
のを見た方もいらっしゃると思います。
この要観察歯とは、むし歯とはっきり診断はできないが、その初期の症状を疑うような所見があった
ということです。要観察歯は通院や治療勧告の対象ではありませんが、その経過を観察する必要があります。
むし歯のような穴はあいていなくても、歯のかみ合わせの面などの細い溝が茶色っぽくなっていたり、
歯の表面が白っぽくすすけていたり、歯と歯の間に着色が存在したりする場合です。このような歯は、
そのまま放置するとむし歯へ移行する可能性が非常に高いため、学校での保健指導や家庭での適切な
ブラッシングが大切になります。
それによりむし歯への移行を防いだり、遅らせたり、さらには再石灰化など健全な状態への回復が期
待できる場合もあります。心配な場合は歯科医を受診して、定期的な観察や歯科衛生士によるブラッシ
ング指導、食事指導を受けられるとよいでしょう。
また、要観察歯以外については、治療勧告書などで指摘を受けたら、歯科医院でよく調べてもらうこと
をお勧めします。学校での検診は体育館や教室で行うことも多く、歯科医院と比べて十分な診察ができな
いこともしばしばあるからです。また、疾患の状況によっては治療が長期にわたる場合もあります。夏休
みなどを利用して治療すると良いでしょう。
NPO法人こども医療ネットワーク会員
堀川清一 (堀川歯科医院)
7月16日南日本新聞掲載