熱があるときのけいれん
こども救急箱(3)
乳幼児は、熱に伴ってけいれんを起こすことがあります。健康であったこどもが、何の前兆もなく、突然目つきがおかしくなり、
手足を突っ張り、ピクつかせ、あわをふきます。全身の力が抜けるタイプもあります。いずれも、1〜3分で、急に力が抜けたり、
不機嫌で泣き出したりしてけいれんは止まります。終わった後はキョロキョロ母親を探すことも多いです。
けいれんは熱が高くなるときの震えとは違います。ぶるぶる震えていても意識がはっきりし、お母さんの言葉に反応するときは
けいれんではありません。もしけいれんが起きたら、
1)あわてず観察する、
2)首の絞まるような服は緩める、
3)口の中にタオルなどは入れないこと、が重要です。
小さなお子さんが舌をかんで大量出血することはありません。
もし、同じ日に繰り返す、けいれんが10分以上続く、片側だけのけいれん、けいれんが終わっているのに目が覚めない、などの
症状があるときには、近くの医療機関に相談する必要があります。また、インフルエンザ流行期のけいれんは、少し違った対応が
必要ですので、早めに相談したほうがいいでしょう。
熱性けいれんは、10人に一人くらいの割合で起こるので決して稀なものではありません。大部分が単純型といい、一生のうちに
1〜2回のけいれんですみ、後遺症は何もなく、将来的にてんかんとなる可能性はありません。兄弟や両親が熱性けいれんの経験が
あるときは、けいれんしやすい体質と考えますが、前述のような症状を伴っていなければあわてる必要はありません。
いずれにしても、お母さんが様子を冷静に観察し、医師に正確に伝えていただくことが重要でしょう。
NPO法人こども医療ネットワーク 四俣一幸 (鹿児島大学病院)
南日本新聞 2006年5月15日掲載