川崎病
こども救急箱(31)
こども特有の病気に川崎病があります。1歳前後の発症が最も多く、4歳以下の発症がほとんどです。
川崎病は、昭和42年に川崎先生が世界で初めて報告した病気です。たくさんの研究が現在もされてい
ますがいまだに原因ははっきりしていません。
症状は、@5日間以上続く発熱 A発疹 B眼球結膜の充血 C唇の腫れや苺舌 D手のひらや足の裏の
発赤・腫れ E首のリンパ節の腫れ これら6つの症状のうち5つ以上あると、川崎病と診断されます。
これらの症状は放置していてもいずれはよくなるといわれていましたが、発熱から10日以降に心臓の冠動脈に
冠動脈瘤といわれる後遺症が出現することがわかりました。冠動脈瘤は心臓の血管にこぶができ、血管が
つまる心筋梗塞をおこしたり、破裂することもあります。当初は急性期の冠動脈異常の出現率は20-30%で
したが、ガンマグロブリンという免疫を補充する薬を使うことによりその出現を15%程度まで下げること
ができるようになりました。
こどもの発熱には発疹を伴うことがよくあります。発疹の種類や熱と発疹の出現時期、その他の症状によ
り診断がつく病気が多くあります。川崎病もそれらの病気の一つです。川崎病と診断されるのは発熱後5日前後
がほとんどですが、発熱期間が長いほど冠動脈後遺症出現の可能性が高くなります。したがって川崎病の治療は、
発熱7日以内にガンマグロブリン療法が行われます。
発熱に発疹を伴う病気で緊急性がある病気はそれほど多くはありません。発熱中の夜間に発疹に気がついたとき
には、本人の状態に変化がないようでしたら、翌日必ずかかりつけの小児科を受診してください。川崎病は他人
には伝染しませんが、発疹が出る病気の中には麻疹などのように伝染する病気もあります。小児科受診の際に
は必ず受付で発疹が出ていることを伝えるようにしてください。
NPO法人こども医療ネットワーク
益田君教 (鹿児島市医師会病院小児科)
平成19年9月3日 南日本新聞掲載