子どものぜんそく
−薬や環境で制御可能−
こども救急箱(33)
今年もぜんそくの季節がやってきました。ぜんそくの発作は季節の変わり目、特に秋に集中します。
最近になってせきや、ゼイゼイ、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)があるお子さんを多く見かけますが、
このような症状が繰り返しある場合はぜんそくの可能性があります。気管支の慢性的な炎症のために、気管支
が過敏になっていることが原因と考えられています。
風邪や、ほこり、台風など気候の変化でも発作が引き起こされることがあります。気管支が狭くなるために
息が苦しくなり、日常生活が制限されたり、夜眠れなくなったりします。悪化すると呼吸困難になり、命にか
かわる場合もあるので、油断はできません。
治療はに気管支拡張薬や抗アレルギー薬、痰(たん)を出しやすくする去痰薬などを使います。また、症状の
重さに応じて、吸入ステロイド薬(気道の炎症を抑える薬で、内服薬と違って局所への投与なので、副作用はほ
とんどありません)を使用します。補助器具を用いたり、最近では吸入器で使用することのできる薬も開発され、
子どもでも自宅で吸入することが可能になりました。
大切なのは、その子の重症度を判断し、早い段階で適切な治療を開始することだと思います。さらに、ダニや
ほこりの少ない環境、ペットや喫煙者の影響を受けない環境を整えることもとても重要です。
ぜんそくの患者は、発作が起こらず、スポーツを含めた日常生活を普通に送れることを目標として、予防を中
心とした日々の治療をすることがとても大切です。ぜんそくのコントロールがうまくいっていない場合は、何か
原因があるはずです。まずはかかりつけの小児科医によく相談してください。医師を上手に利用して、ぜんそく
とうまくつきあっていきましょう。
NPO法人こども医療ネットワーク会員
今村直人(今村病院小児科)
平成19年10月4日 南日本新聞掲載