頭を打ったとき

 

こども救急箱(34)

 日常生活で、子どもがいすから落ちたり、階段で転んだりして

頭をぶつけることがよくあります。そんなとき小さい子どもは、

自分の体の状況を言葉でうまく説明することができないので、体

全体で頭の変化を表します。乳幼児が頭を打ったときの注意点を

考えてみましょう。

 頭のぶつけた部分に、こぶができることがよくありますが、これ

はあまり気にしなくても構いません。それよりも、子供の体全体の

変化への注意が大切です。例えば、頭を打っても意識がしっかりし

ていて、すぐ大声で泣き、手足の動きも元気な時と変わらなければ、

そのまま様子をみていい場合が多いのです。

 逆に、頭を打った後元気がなく、眠くなって意識がもうろうとしたり、

顔色が悪くなったり、何度も吐くような場合は、受診が必要です。

診察医に頭を打ったときの状況を、なるべく正確に伝えてください。

さらに、手足の動きが鈍くなったり、引きつけを起こした場合など、

いつもと明らかに違う様子がみられても受診する必要があります。

目の周囲や耳の後ろに青あざがみられる場合は、特殊な骨折の可能性

もあります。

 赤ちゃんは、頭を打った直後は体の様子に変わりがなくても、数時間、

あるいは1―2日後に変化が現れることがあります。数日は、吐き気が

出てこないか、うとうと眠らないか、不機嫌ではないか―などに気を

付け、もしこのような状態が出現したら、再度受診しましょう。

 大泉門の開いている赤ちゃんで、頭をぶつけたときに、大泉門の張り

具合がいつもと違っていたら、頭の中に変化があると考え、受診してく

ださい。また、年長児が頭を打った後、明らかに頭痛や吐き気などの

訴えが続くときには、脳外科医による診察と治療が必用な場合があります。

医師に相談しましょう。

 

 

NPO法人こども医療ネットワーク会員

佐野のぞみ(国立病院機構南九州病院小児科)

平成19年1029日 南日本新聞掲載