脱水時の補水
−水と塩分を補って−
こども救急箱(39)
冬場に多い嘔吐や下痢は子どもたちの脱水症の原因になります。そのような
時の水分補給のことを「補水」といいます。補水に関連する知識を紹介します。
嘔吐や下痢では、水分だけでなく電解質(ナトリウムを中心とした塩分)も
大量に失われています。嘔吐や下痢に含まれる塩分の濃度は、スポーツドリンク
の濃度の二―三倍に相当します。脱水時には、水分だけでなく塩分の補給も
大切なのです。
脱水の時に使う経口の補水液は、簡単に作ることができます。湯冷まし一
リットルに、食塩三グラム(小さじ二分の一杯)、砂糖四十グラム(白糖大さじ
四と二分の一杯)をよく溶かします。水分や塩分を腸から吸収するためには
糖分が必要なので、砂糖も入れるのです。適温に冷まし、レモンやみかんなどの
果汁を入れると飲みやすくなります。塩分が濃いめの経口補水液も市販されて
います。
量は、三―五分おきに五ミリリットル(ティースプーン三杯)から始めましょう。
体重一〇キロ前後では五分おきに十ミリリットル、二〇キロの場合は二十ミリ
リットル程度を目安にしてください。コップの底に五ミリメートル―一センチメートル
ぐらいの量を、五分ごとに与えるのがコツです。これでも吐くときは十分ぐらい
待ちましょう。全体量としては幼児で三百―六百ミリリットル、学童で五百―千ミリ
リットル与えましょう。
緑や黄色の嘔吐物がある場合や、補水液を与えても三回以上吐く、血便がある、
大量の下痢を五回以上してぐったりしている、といった場合は、治療の必要な
病気がかくれている恐れがあります。医療機関の受診をおすすめします。
NPO法人こども医療ネットワーク会員
南 武嗣(みなみクリニック)
平成20年1月21日
南日本新聞掲載