こども救急箱(49)
赤ちゃんの目の病気を見つけるためには、お母さんをはじめとした家族の観察が頼りです。世話をするときに
普段から赤ちゃんの目をよく見て、正常の状態を知っておくことが大切です。
乳児期に特に気をつけたい症状としては、瞳が白く濁っている(白内障)、黄色く光って見える(網膜芽細胞腫)、
黒目が広がり大きく見える(先天緑内障)などがあります。これらは早期の手術が必要な病気です。いつもと違う
目の様子に気づいたら早めに眼科を受診しましょう。
そのほか、赤ちゃんの目の症状としては、白目が赤い、目やにが多い、泣かないのに涙がでる、いつもまぶしそ
うにする、片目をつむる、おもちゃを動かしても反応しない、まばたきをしない、頭を傾けて見る、横目で見る、眼球
が揺れるなどがあります。
目やにの多くは、細菌性結膜炎によるもので点眼薬で治ります。しかし中には、目と鼻をつなぐ通路(鼻涙管)が
炎症を起こす涙嚢炎や、目のまわりが炎症を起こして腫れる眼窩蜂巣炎の場合もあります。また、まれにウイルス
性のこともあり、白目(結膜)だけではなく黒目(角膜)にも病気を起こすことがあります。
泣いていないのに涙が多いときには先天性鼻涙管閉塞を考え、白目の充血やまぶしがるときには逆さまつげ
(眼瞼内反)を疑います。両者は手術をすることもありますが、成長と共に良くなっていくことが多いようです。
【読み方】
・ 鼻涙管(びるいかん)
・ 涙嚢炎(るいのうえん)
・ 眼窩蜂巣炎(がんかほうそうえん)
・ 眼瞼内反(がんけんないはん)
NPO法人こども医療ネットワーク会員
冨宿紀夫(吉野眼科クリニック)
南日本新聞 平成20年6月30日掲載