子どもの歯ぎしり
こども救急箱(54)
歯ぎしりは、かみ合わせの異常やストレスにより、中枢神経が刺激されて起こる癖で、眠りの深さによって起
こり方に違いがあります。睡眠中の強い歯ぎしりは、歯の過度のすり減りやぐらつき、あごの関節に大きな負担
をかけます。
乳歯は永久歯に比べて柔らかいため、歯の表層の硬いエナメル質がすり減って短い期間で象牙質が露出
したり、歯を支えている歯周組織に過度の負担がかかることで歯が動き、痛みを感じる場合もあります。しかし、
一般的には子どもの歯ぎしりで日常生活に差し支えるような症状が出ることはあまりありません。
対応は対症療法が中心です。睡眠中の歯ぎしりは無意識に行われるため、プラスチックで作ったかみ合わせ
部分の保護装置(ナイトガード)を着けて寝ることで、歯やあごの関節への負担を少なくし、歯ぎしりによる障害
を軽減します。歯の表層の摩耗による過敏症状があれば、表面を覆う処置を行います。
乳歯のかみ合わせの異常が原因と思われる歯ぎしりでは、早期の歯並びの治療が必要となる場合もあります。
子どもの歯ぎしりは、ストレスが原因で起こる大人の歯ぎしりとは異なり、成長の過程でみられる一時的な現象
であることも多いようです。日中、友達や家族と楽しく遊ぶと夜はぐっすり眠り、歯ぎしりが少なくなったり、歯の生
え代わりや身体の成長とともに歯ぎしりが自然になくなることもあります。
むし歯の予防と歯ぎしりの診察を兼ねて、定期的に小児専門の歯医者さんに診ていただくと良いでしょう。
ナイトガード
NPO法人こども医療ネットワーク理事
山崎要一(鹿児島大学病院 小児歯科)
平成20年9月 15日南日本新聞掲載