咽頭結膜熱(プール熱)
こども救急箱(6)
咽頭結膜熱は、アデノウイルスの感染によって発熱、咽頭炎、結膜炎が起こる病気です。
アデノウイルスに感染して5〜7日後に高熱、のどの痛み、目の充血、目やに、目の痛み
などの症状が現われ、5日前後続きます。アデノウイルスは咽頭結膜熱以外にも、目の症状
のない咽頭炎や扁桃炎も起こします。診断は、咽頭ぬぐい液を採り、迅速診断キットを用いて行います。
咽頭結膜熱は、プールでの感染が多くみられることからプール熱とも呼ばれています。
プールでは、消毒が不十分でアデノウイルスに汚染された水から、直接目の結膜にウイルスが入って
感染するほか、共用のタオルや手すりなどについたウイルスでも感染が起こります。プール以外でも、
せきなどで飛び散ったウイルスによる感染(飛沫感染)や手指などについたウイルスによる感染(接触感染)
がみられます。
治療は対症療法のみで、安静、水分補給、栄養補給が大切です。アデノウイルスに効く薬はありません。
まれに肺炎などの合併症を起こすこともありますが、ほとんどの場合は重症にならず、1週間
前後で自然に治ります。目の障害が残ることはありません。乳幼児では、のどの痛みが強いため
水分も摂れなくなることがありますので、小児科医に相談してください。
予防は、うがいや手洗いが重要で、プール後のシャワーや目の洗浄が大切です。学校保健法では、
「主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止」とされています。症状がなくなってから2日
過ぎるまでは、学校、幼稚園、保育園を休み、友達と遊ぶのも控えましょう。また、症状がなくなって
からも3週間位は糞便中にウイルスが排泄されますので、下痢や軟便がみられる場合、プールは
控えたほうがよいでしょう。プールに入る場合は、入る前のシャワーやお尻の消毒を十分におこなってください。
他の子どもにうつさないように気をつけることが大切です。
NPO法人こども医療ネットワーク会員
霧島市立医師会医療センター小児科
真砂 州宏 (まなご まさひろ)
(平成18年6月26日 南日本新聞掲載)