「子どもの歯科治療」
こども救急箱(65)
子どもの歯科治療は、小さな乳歯に精密な技術を必要とするため、大人以上に治療に協力して
もらうことが重要です。しかし、嫌なことを嫌という子どもに積極的な協力を求めるのは難しいものです。
では、いつごろからむし歯の治療を頑張ろうという心が芽生えるのでしょうか。それは理容店で
じっとして散髪ができるようになったり、ボタンつきのパジャマを一人で着ることができるようになる
三歳半以降だといわれています。そのころに、むし歯の治療に協力できるように働きかけ、練習を
する必要があります。
子どもは良い経験を積みながら成長していきます。むし歯治療の場面における良い経験は、怖さを
我慢することではなく、怖さを感じることなく治療ができることです。歯科治療で使用する器具を分かり
やすく説明し、徐々に慣れていくことで、円滑に治療に入ることができます。
しかし、どれだけ働きかけても治療を受け入れられない子もいます。そのときには治療に対する怖さ
や不安を和らげるために鎮静ガスを使ったり、静脈内への鎮静剤の使用あるいは全身麻酔を選択す
る場合もあります。どの方法も安全ですが、麻酔に対する専門的な知識と技術や設備が必要となる
ため、大きな病院でしかできません。これらの対応を望まれるなら一度かかりつけの歯科医師にご相談
ください。
歯科医院嫌いな大人は、子どものころに歯科治療で嫌な体験をしたことが原因といわれています。歯科
医院を上手に利用することでストレスなく治療することができ、より健康な人生を送ることができるでしょう。
NPO法人こども医療ネットワーク会員
重田 浩樹(しげたこども歯科)
3月9日南日本新聞掲載