「日焼け」

 

こども救急箱(67)

今から三十年以上前、夏の日差しを浴びて真っ黒に日焼けした子どもたちの姿はとても健康的だと

誰もが思っていました。紫外線を受けた皮膚の細胞の遺伝子に細かい傷がつき、それが積み重なるこ

とによって皮膚がんを発症しやすくなることが分かったのは二十世紀の終わりになってからです。

 メラニン色素が少ない白人に比べると、有色人種は紫外線の害を受けにくいのですが、紫外線の量が

多い九州は東北地方より皮膚がんの患者数が四、五倍多いことが分かっています。

 また、細胞分裂の多い子どもの皮膚は、大人より強い影響を受けます。将来の子どもたちの健康な皮膚

のために、上手に紫外線と付き合っていくことが必要です。日差しが強い時間帯にお出掛けする時は、

帽子を着け、露出している肌には日焼け止めをぬりましょう。

 日焼け止めには、紫外線吸収剤が入っていないタイプのものが安心です。「紫外線吸収剤無配合」「ノン

ケミカル」などと表示されています。肌に合わないこともあるので最初は少量ぬって確かめましょう。

 汚れや汗などをぬれタオルなどでふき取り、むらなくぬることが大事です。また、汗をかいたり、それを

タオルでふくことによって、落ちていくため、二、三時間おきにぬり直すことをお勧めします。

 外出から帰ったらしっかり落とすようにしましょう。子ども用のものは水で洗い流せるタイプのものが多い

のですが、落ちにくい時は、赤ちゃん用の低刺激性クレンジングウェットティッシュなども市販されているので、

利用するとよいでしょう。

 春の訪れとともに、お出掛けの機会が多くなります。日焼け止めの準備もしっかりしておきましょう。

 

 

NPO法人こども医療ネットワーク会員 

金蔵章子(医療法人童仁会池田病院)

4月6日 南日本新聞掲載