「喘息性気管支炎」
こども救急箱(69)
子どもが風邪をひいてゼイゼイしているときに喘息性気管支炎と診断されたことのある方は多いと思います。喘息性気管支炎と聞くと、
喘息とどう違うのかと疑問に思う方は多いのではないでしょうか。
症状は両者ともほぼ同じで、主なものはせき・喘鳴、発熱や鼻水などです。風邪をひいて気管支炎を起こすと気管支の粘膜がはれたり、
痰が増えて気管は細くなります。もともと小児の気管は大人より細いので、すぐに喘息のようにゼイゼイやヒューヒューといいやすくなります。
そのため、1回の症状ですぐに気管支喘息と判断できず、喘息性気管支炎と診断することが多くあります。
しかし、喘息性気管支炎を繰り返す子どもの中には、アレルギーが関与していて喘息にすすむ可能性があり注意が必要です。
喘息性気管支炎にかかる子どもの約50%が2歳以下で特に3〜10カ月の乳児が多く、また3歳程度で大多数治癒します。10%程度は
気管支喘息にすすむと言われています。
原因の多くはウイルス感染でその種類は年齢によって異なります。RSウイルスは1歳以下に多く年齢とともに減少していきます。一方、
ライノウイルスやマイコプラズマは年齢とともに増加し学童期に多いのが特徴です。治療には対症的にせき止め・去痰薬・気管支拡張薬などを
使用します。ゼイゼイと喘鳴が強く呼吸困難を伴う場合には入院治療が必要となる場合もあります。早めにかかりつけの小児科を受診するよう
にしてください。
NPO法人こども医療ネットワーク会員
大竹山令奈(鹿児島市医師会病院小児科)
平成21年5月11日 南日本新聞掲載