「チャイルドシート」
こども救急箱(71)
2000年4月から6歳未満の子どもを自動車に乗せる場合にはチャイルドシートの使用が義務づけられました。
しかし、日本での使用は50%で、誤使用率が99%というデータもあります。日本小児科学会ではチャイルドシート
に関する提言をまとめました。基本は子どもの安全を確保するためですが、子どもが連れてこられるすべての医療
機関でチャイルドシートが適切に使用されているか注意を払う必要があると提唱しております。
ポイントは適切なシートが購入されているか、エアバッグ装備がある席に設置されていないか、子どもを車内に放置
する習慣がないかの3点です。適切な締め付けとは、チャイルドシートの座面の揺れが25_以内のことを言います
ので、実際のシートを揺さぶって確認してみてください。保護者からいただく質問の中では、いつまで後ろ向きに座らせ
るのかというものが多いようです。少なくとも1歳を過ぎ、かつ体重が10`を超えるまでは進行方向後ろ向きにのせる
必要があります。1歳過ぎても体重が10`なければ後ろ向きです。特に小さな乳児は、後ろ向きで水平から45度の
角度にすることが重要です。背中全体で衝撃を受け止める必要があります。助手席などエアバッグの装着席が不適
切な理由として、エアバッグは時速200`以上のスピードで膨らむので子どもはこの衝撃で死亡するということが挙
げられます。チャイルドシートには一般的に6年ほどと言われる寿命がありますので、中古のシートの購入には注意
する必要があります。いずれにしても、専門店で車種と子どもの年齢や体重を告げて選ぶ必要があるでしょう。
NPO法人こども医療ネットワーク理事長
河野嘉文(鹿児島大学病院小児科)
平成21年6月8日 南日本新聞掲載