起立性調節障害

 

こども救急箱(76)

小学校高学年から中学校のいわゆる思春期に、立ちくらみや頭痛、疲れやすさなどの体調不良を訴えることがあります。これは

起立性調節障害(OD)が原因であることがほとんどで、急に背が伸び、子どもから大人の体へと変化する時期に認められやすくな

ります。

急に立ち上がって長く起立した状態でいると、血液は重力で下半身に移動しやすくなります。通常は自律神経が働いて下半身の

血管を収縮させて防ぎますが、ODではこの調節がうまくできず、血液が下半身にたまって脳の血液循環が悪くなります。

代表的な症状は@立ちくらみやめまいを起こしやすいA立っていると気分が悪くなるB入浴時、あるいは嫌なことを見聞きすると

気分が悪くなるC少し動くと動悸や息切れがするD朝なかなか起きられず午前中調子が悪い―などです。症状がひどい時には倒

れたり、登校できなかったりすることもあります。

診断は、顔色が悪い、食欲不振、腹痛、疲れやすい、頭痛、乗り物に酔いやすいなどの症状を参考にします。血圧や心電図の検

査を加えることもあります。散歩などの適度な運動、十分な睡眠、三度の食事はきちんととるなど規則正しい生活をすることが大切

です。症状が強い時は血圧を上げる薬を使う場合もあります。ODと診断するには、ほかの病気を否定することが重要で、自己判断

は禁物です。気になる場合は、かかりつけ医に相談されることをお勧めします。

 

 

NPO法人こども医療ネットワーク会員 

原口務(あいら小児科)

平成21年9月7日 南日本新聞掲載