新型インフルエンザ
-「慌てない侮らない」-
こども救急箱(77)
各地で新型インフルエンザの集団感染が増えています。大流行が今後予想され、心配なことと思います。
今回の新型インフルエンザは強毒ではなく、かかっても軽症で経過することが多いようです。しかし、ほとんど
の人が免疫を持っていないため、感染が広がりやすいのが特徴です。日ごろから手洗いやうがいを行い、栄養
や睡眠を十分とって規則正しい生活を心がけておくことが大切です。
軽い風邪症状が出ると「新型かな」と心配になり、検査ではっきり診断してもらいたくなります。簡易検査で
A型とB型を判定できますが、発症早期はウイルス量が少なく、24時間以内での陽性率は50%を下回るようです。
陰性でもかかっていないとは言い切れません。
インフルエンザは新型であっても、基本的には薬なしでも数日で自然に治る病気です。健康な子どもは、軽い
症状であれば急いで薬を飲む必要は本来ありません。安静にして水分をとりながら、症状の悪化がないかをよく
観察してください。新型インフルエンザは元気な子どもでもまれに肺炎や脳症を合併し重症化することがあります。
息苦しそう、呼吸がとても速い、顔色がとても悪い、意識がおかしい、けいれんがあるなどの症状がみられたら、か
かりつけ医にすぐ相談してください。持病のある子どもは一層の注意が必要です。
患者数が急増すると病院に患者が殺到し、重症患者を治療できなくなる恐れがあります。医療機関にはかかりつけ
の小児科医院、入院施設のある病院、重症患者をみる中核病院と役割分担があります。気になる症状があるとき
は慌てず、侮らず、まずはかかりつけ医に相談ください。
NPO法人こども医療ネットワーク会員
西 順一郎(鹿児島大学病院小児科)
平成21年9月28日 南日本新聞掲載