言葉の発達

 

こども救急箱(83)

赤ちゃんはかなり早い時期から親の声を識別できるといわれています。耳で音を聞き分け、目で口元を見て言語を習得していきます。

「あーあー」や「うーうー」など言葉にならない発音が6カ月ごろからみられ、1歳ぐらいになると「ママ」「パパ」など簡単な単語が話せる

ようになります。2歳ぐらいで語彙が増え、「パパ来た」「ママ好き」などの2語文が出始めます。少しずつ自分の伝えたいことが言える

ようになります。3歳ごろには多くの人が話す内容を理解できたり、質問と答えという会話ができるようになります。

  言葉の発達を左右する要素には@声を出すための口腔や声帯の機能A聴く能力B言葉を物と結びつけて考える能力―があります。

言葉の発達を促すためには、コミュニケーションが大事です。子どもが話すことに自信を持てるように、よく話を聞いてあげるのも重要でしょう。

言葉の能力は話しながら発達します。見るだけになることが多いテレビの長時間視聴は、小さい子どもの言葉の発達に悪影響を及ぼす可能

性があると最近いわれています。

 これを防ぐため、日本小児科学会は2歳以下にはテレビ、ビデオ、DVDなどを長時間見せないように提言しています。ご飯のときは

テレビを消したり、DVDを見たあとは家族で遊ぶ時間を作ったりするなど、テレビは上手に活用してください。

 言葉の発達は運動能力と同じように個人差がありますので、長い目で見守ることが大切です。耳や知能に問題がなければ、言葉の発達

には親と子のコミュニケーションが最も大事です。目と目を合わせて会話するようにしましょう。

 

 

NPO法人こども医療ネットワーク会員 

丸山慎介(鹿児島大学病院小児科)

平成22年1月18日 南日本新聞掲載