反抗期
−「子に学ぶ」姿勢で−
こども救急箱(85)
乳児期をすぎて話ができるようになると、やがて第一反抗期がやってきます。個人差は大きいですが、1歳半から2歳にな
ると自己主張が目立ち、何を言っても「いや」「いや」になります。親が話す内容を理解できて順調に発達している証ですが、親
としては非常に大変な時期です。つい大声でしかって後で反省する場面も経験しますよね。英語圏では「terrible two(大変な
2歳)」という表現があるそうです。
反抗期の子どもへの対応方法はほめるしかないと言われますが、このあたりは学問として研究されたというより、先人の経験
から得られた人類としての知恵なのだと思います。理屈で納得させられないことは誰もが経験しています。子育て論に正解は
ないのが実際でしょう。
「三つ子の魂百までも」「スズメ百まで踊りを忘れず」というように、子どもにとっても非常に重要な人格形成期で、多くの愛情
を注ぐことが必要です。大変な時期ですが、「かわいい」「いとしい」という気持ちを持って包み込むように接するようにしてください。
めでたく親になった大人は、この時期を経験することで自分が親として成長しているかと自問してみましょう。子育てによって
親として人間として成長させてもらったと感じるには、少し時間がかかるとは思いますが、子育ては親が人間として成長する絶好
の機会です。親になるための試験はありませんので、すべての親が子どもを教育する資質をもっているとは限りません。逆に、
すべての親は子どもに教えられます。「親はなくても子は育つ」のですから、親が子どものそばに居させてもらっていると考え
たいものです。
NPO法人こども医療ネットワーク理事長
河野嘉文(鹿児島大学病院小児科)
平成22年2月22日南日本新聞掲載