子どものリウマチ
こども救急箱(91)
関節リウマチという言葉を聞いたことがあるでしょうか。多発性関節炎を主徴とする原因不明の疾患で、進行すれば関節の破壊と
変形をきたします。リウマチは子どもでも発症します。子どものリウマチは病態から大きく分けて「全身型」と「関節型」があります。
全身型の特徴としては@体温上昇と低下を繰り返すA皮膚にピンク色の発疹が出るB肝臓・脾臓(ひぞう)やリンパ節が腫れる
C関節を痛がる―といったものが挙げられます。全身型の中には感染症と診断され抗菌薬で治療したけど、なかなか改善しないと
いった例もみられます。
関節型はひざ、手首、ひじ、足首、手指、頸椎(けいつい)といった関節の痛みや腫れが続くのが特徴です。朝起きてすぐに関節を
動かそうとすると、いつもと違った抵抗や違和感、痛みなど「こわばり」を感じることがあります。朝起きるのが遅くなったら、こわばりを
疑ってみた方がいいかもしれません。 ほかに「最近よく転ぶんです」といった訴えがきっかけで、受診につながる場合もあります。
治療には、非ステロイド系の消炎薬があり、関節型で症状のある関節の個所が少ない場合は、薬の内服だけで治る場合もあります。
ただし、消炎薬でコントロールできない場合は、全身型では主にステロイド、関節型では主にMTXという免疫を調節するお薬を用います。
また、目に合併症をきたすことがあるため、定期的な眼科受診が必要になる場合があります。ひどく進行すると車いす生活になったり、
関節が動かなくなることがあります。リウマチは治る病気となってきているので、気になることがあれば一度小児科医にご相談ください。
特定非営利活動法人 こども医療ネットワーク会員
山ア雄一(鹿児島大学病院小児科)
平成22年5月31日南日本新聞掲載