だるい・疲れやすい

 

こども救急箱(96)

鹿児島弁でだるさや疲れを表す言葉は、しんどい、きつい、てそい、のさん、よだきぃなど様々

ですが、各地方でそれなりの表現があるかと思います。それだけ身近でたびたび感じる身体の

変化の一つと言えるでしょう。医学的には倦怠感(けんたいかん)と表現します。

「疲れを知らない子どものように」という歌がありましたが、現実には子どもでも疲れることは

多々あります。ゆっくり身体を休めても気分転換をしても持続する倦怠感は、何らかの病気のサ

インかもしれません。病気であるとしたら、風邪の初期症状がもっとも多いでしょうけど、貧血や

低血圧、思春期に多い起立性調節障害、もう少し難しい問題としてうつ病、膠原病なども考えら

れます。長期間学校に通えないほど疲れやすい子どもの場合、慢性疲労症候群という診断もあ

ります。疲れは個人それぞれの感覚なので、他人に理解されにくく、なまけだと勘違いされてしま

いがちです。

日常的な倦怠感への対応としては、規則正しい生活とバランスの良い食事、適度な運動や自分

なりのストレス解消法を持つことが大切です。「早寝・早起き・朝ごはん」は子どもの望ましい生活習

慣のために掲げられたキャッチフレーズですが、倦怠感への対応としても効果が期待できます。朝

の陽ざしをあびることで、体内では眠気を催すホルモンの分泌がおさえられます。寝る前に遮光カ

ーテンを開けて朝の陽ざしを感じるようにしておくと、目覚めが良くなり、疲れがとれるかもしれません。

疲れやすさが気になる場合は、発熱の有無やリンパ節の腫れ、のどや頭や関節の痛み、睡眠障害

など、疲れ以外の症状にも注意して、かかりつけの小児科医にご相談ください。

 

 

                            NPO法人こども医療ネットワーク会員

野中由希子(鹿児島大学病院小児科)

平成22年8月23日 南日本新聞掲載