こども救急箱

vol.302 尿の色

―疾患のサインの可能性―

南日本新聞掲載日付 2022/06/03

お子さんの尿の色を確認することはありますか。尿の色は、お子さんの健康状態を示している可能性があります。尿は腎臓の中で血液をもとにつくられます。不要な老廃物や水分などをろ過して尿がつくられ、尿管・ぼうこう・尿道を通り体外に排出されます。

健康な人の尿の色は、淡い黄色から黃褐色です。これは血液を分解した際に出る代謝物のウロビリンの色です。水分摂取量が多いと、尿量が増えてウロビリンが薄まり、透明に近くなります。逆に水分摂取量が少ないと、尿量が減ってウロビリンが濃くなり、褐色になります。

尿が赤く見える場合には、尿に血液が出ているか、激しい運動後に壊れた筋肉から出たミオグロビンが混じっている可能性があります。尿検査をすることで区別は簡単にできます。尿に血液が出ている場合は、腎臓・尿管・ぼうこう・尿道の問題を考えます。

肉眼では赤みが目立たず、簡単な検査で血液が混じっていることが分かる場合があります。乳幼児健診や学校検診で指摘されるようなときです。症状がなくて見つかった場合でも、病気の発見につながる可能性があるため、早めに病院を受診するようにしましょう。

尿が白く濁っている場合は尿路感染症の可能性があります。排尿時の痛みや熱などの症状を伴うことが多いですが、小児では痛みがあることを「排尿を極端に嫌がる」ということで表現することもあります。

また、風邪などで薬を内服している際には、薬が反応して茶色、黒色、緑色、オレンジ色などに変色することがありますが、薬を飲み終わると通常の色に戻ります。飲み終わっても変色が続く場合には病院を受診しましょう。

このように、尿の色だけでもさまざまな疾患のサインの可能性があります。お子さんの体調チェックに尿の色も参考にしてみてください。

 

こども医療ネットワーク会員

岡田聡司(県民健康プラザ鹿屋医療センター)