子どもが頭を打って心配された経験は、どなたにでもあるのではないでしょうか。日常的に発生しやすいとはいえ、いざその場面になると慌ててしまいますよね。
まずは意識状態、活気や機嫌、打撲した場所、強さの程度の確認が必要です。よびかけても反応がなく目をつむっていたり、反応して目を開けてもすぐに寝る、言葉を発しない、手足を動かさない場合は意識状態が悪いため、直ちに病院を受診しましょう。
頭を打った1~2時間後でも元気がない状態が続く場合や、複数回もどす状況が続く場合は受診が必要です。打撲部位に変形や腫れ、へこみがある場合は頭蓋骨骨折の可能性もあります。受傷時に強い力が働く「高エネルギー外傷」の場合は、頭蓋内出血、脳損傷をきたす場合がありますので、注意が必要です。2歳未満では約90cm以上、2歳以上では約150cm以上からの高所からの落下、高速物体との衝突、交通事故などがこれにあたります。
軽症例では頭部コンピューター断層撮影(CT)の必要はありませんが、重症例を見逃さないため、被ばくのリスクと検査のメリットなどを加味し、医師の判断でCT撮影を決定します。1回目は明らかでなくても、2回目以後のCTで頭蓋内出血や脳損傷が明らかになることがあります。けがをしてから24~48時間程度は症状の変化がないかに注意が必要です。
子どもはちょっとした隙に予期しない行動をします。目を離さないとともに、事故につながらない環境を整えることが重要です。柵の設置、ベビーベッドの柵を上げる、運転中はシートベルトを装着する、抱っこひもやスリングの使用時はかがむ、などの対策がそうです。
事故の予防、そして万が一起きてもその程度を少しでも軽くするために、日常にひそむリスクを見直してみましょう。
こども医療ネットワーク会員
加藤嘉一(鹿児島県立大島病院)