乳幼児の誤飲の第一位はタバコです。最近、加熱式タバコが普及してきていますので、今後、加熱式タバコの誤飲も増加することが考えられます。従来のタバコに比べて加熱式タバコは誤飲についての安全性はどうなのでしょうか。
タバコの誤飲で心配なのは含まれるニコチンによる中毒です。小児の致死量は10~20㎎で、従来のタバコ約1本が相当します。また、嘔吐などの中毒症状は5㎎位で見られます。従来のタバコは、1本あたりのニコチン含有量の表示義務があります。しかし、加熱式タバコのタバコ葉の入ったスティックやカプセルには、実は表示義務がないので明示されていません。そのため、正式にニコチン含有量が公表されていません。国民生活センターが独自に調査した結果では、製品ごとにばらつきがありますが、約2~7㎎でした。従来のタバコに比べて1本あたりのニコチン量は少ないので安全の様にも思えますが、実際にはそうではないと思われます。
従来のタバコでは1本を食べきる子は少なかったので本体での誤飲による中毒は少なく、中毒になるのは吸殻等を付けた水に抽出されたニコチンを大量にとってしまった例でした。加熱式タバコのスティックやカプセルは、小型化されています。そのため、容易に1個全体を誤飲してしまう危険性があります。従来はタバコ本体での中毒例が少なかったのが、今後は本体を誤飲により中毒症状を呈することが多くなること想像されます。また、使用後のスティックやカプセルも火の始末が無いためゴミ箱等の乳幼児の手の届くところに捨てられることが危惧されます。
こどもの周りにはタバコが無いが一番です。ご自身の健康のためにも禁煙をしてくだされば幸いです。
こども医療ネットワーク会員
根路銘安仁(鹿児島大学医学部保健学科)