「アレルギーが心配で、離乳食の進め方が分かりません」。食物アレルギーが広く知られるようになった影響で、乳児健診などでこのような小児科医への質問が増えています。
全てのこどもに、食物アレルギーになりにくくする離乳食の与え方はありません。海外では、ピーナツを乳児期に与えないとピーナツアレルギーになりやすいという研究結果が出ました。日本では、アトピー性皮膚炎がある赤ちゃんに、医師の指導のもとでごく少量の過熱した卵を計画的に食べさせたところ卵アレルギーが減少したとする研究結果が出ました。
しかし、それ以外の食べものやそれ以外のやり方ではどうか、アトピー性皮膚炎がない赤ちゃんでも卵アレルギーが予防できるのか―は分かっておらず、予防効果がなかったという研究結果もあります。
では、どのように考えたらいいでしょうか。じんましんでかゆそうにしたり、咳や嘔吐で苦しがったりするわが子を見たら、「いま与えなければアレルギーにならなかったかも」と思うかもしれませんが、そうではありません。WHO が離乳食開始を遅らせることを推奨していた時期もありましたが、現在では食べるのを遅らせることでアレルギーが予防できないことは証明されており、栄養や好き嫌いを減らす観点からもマイナスです。
血液検査を受けても、アレルギーかどうか見分けることはできません。初めてのものは「1回の食事で1種類、新鮮で、よく火を通して、ごく少量から」という離乳食の基本を守りながら与えましょう。
生後5~6カ月以前にアトピー性皮膚炎と診断されている場合や、牛乳アレルギーと分かっている場合には、離乳食の進め方についてもよく相談しましょう。
こども医療ネットワーク会員
今給黎亮(鹿児島大学病院小児診療センター)