(食物)=食べ物を、(経口)=口から食べて、(負荷)=体に入れてみる、(試験)=検査、という意味です。食物経口負荷試験は、食物アレルギーと診断されていたり疑われたりしている方に行われる検査です。ただ食べ物を食べるだけなのですが、加熱方法、食べる量などを医師が問診や検査結果から慎重に考えます。また、実際にアレルギーがあると食べた後に症状が出てしまうことがあるので、その時の治療の準備を万全にして検査します。そのため医療機関で行う必要があります。
なぜアレルギーがあるかもしれないものをわざわざ食べてみるのでしょうか?食物アレルギーがある食べ物を食べないようにすることを、「除去(じょきょ)」と言います。
除去にもいくつか種類があり、大きく完全除去と不完全除去に分かれます。完全除去は、どんな調理法であってもごく少ない量であってもアレルギーのある食べ物を除去することです。不完全除去は、しっかり加熱してあれば食べることが出来る、少量であれば食べることができる、という場合に、症状が出ない食べ方に限って食べることです。
食物アレルギーは、疑わしいものを全て除去してしまえばアレルギー症状が出ることはありませんが、栄養面やいろいろなメニュー、味わいを楽しむことなどが制限されてしまいます。そのため「必要最低限の除去」を行うように推奨されています。
検査でアレルギーの数値が上がっていた、一度食べた時にじんま疹が出た、なんとなく心配だから、など様々な理由で完全除去している方がいます。また、以前アレルギーがあっても、年齢とともに症状が軽くなったり治ったりする方もいます。それぞれの方のアレルギーの病状を見極め、必要最低限の除去につなげるために、食物経口負荷試験は必要なのです。
こども医療ネットワーク会員
今給黎亮(鹿児島大学病院小児診療センター)