学校健診で成長曲線を用いた評価が開始され、病院受診を勧められたお子さんもいるかと思います。どのような時に詳しい検査を勧められているのでしょうか。
学校で使う成長曲線は、全体を100として小さい方から何番目になるかを示すパーセンタイル値で表示されたグラフです。「3パーセンタイルの人」は「100人のうち小さい方から数えて3番目」ということです。一方、病院で使用する成長曲線は、日本人の平均からどのくらい離れているかを示す「標準偏差」(SD)で表示されたグラフを使います。-2.0SDがおおよそ2.3%タイルと同等の身長です。医学的には-2.0SD以下を低身長、+2.0SD以上を高身長と定義します。体重は身長から計算される肥満度で肥満から痩身(やせ)を評価します。
各学期に測定された身長・体重は成長曲線にプロットされ、過去1年間で1曲線またぐような成長率(身長の伸び)の低下・急増、低身長(3パーセンタイル以下)や高身長(97パーセンタイル以上)の時に、また体重は急激な増減や肥満や痩せの時に病院受診が勧められます。
身長の異常からは、成長ホルモン以外にも甲状腺や性腺ホルモンの異常を含む種々の病気が隠れている可能性を検討します。肥満は早期介入で糖尿病や高脂血症・高血圧などを予防できる可能性もあるし、ホルモン異常による場合もあります。痩せは甲状腺ホルモンの異常や女性に多い思春期やせ症が隠れている場合もあり精査が必要です。
病院受診を勧められたお子さん全てに病気が隠れているわけではないので、病院受診をして精査が必要かどうか判断してもらいたいと思います。
就学前のお子さんも含め、成長曲線作成は子どもたちの健やかな成長を見守る一つの手段です。
こども医療ネットワーク会員
柿本令奈(鹿児島大学病院小児医療センター)