こども救急箱

vol.279 こどもの靴の選び方

―前足部の幅に余裕を―

南日本新聞掲載日付 2020/07/07

 こどもの靴を選ぶときに、どのような靴を買うべきか迷うことはありませんか?今回は「こどもに適した靴」として医学的な観点、選び方について述べさせていただきます。

 まず、靴を選ぶ際に、こどもの足の発達、成長の特徴を知ることは大切です。歩き始めたばかりの子は骨の連結は緩く、立位で足底のアーチはほとんど認めず(いわゆる扁平足)、幅広い足です。4歳くらいまでにアーチが認められるようになりますが、形成が不十分なこともあります。また、足長は身長に比例して長くなりますが、足幅は個人差が大きいと報告されています。足幅は足長に比べて成長が遅れるため、成長とともにアーチがだんだん高くなり、幅広の足から細長い足へと成長していきます。こどもの足の筋力は十分ではなく内外反の動きの不安定性(正面から見て内返し・外返しの不安定性)も注意する点です。

 以上を踏まえ、こどもにとってどんな靴が良いか以下に簡単にまとめました。①前足部の横幅の広い靴(幅狭の靴は外反母趾や内反小趾などの変形の原因になる)。②サイズの目安は踵を靴の後方に軽く押しつけ、つま先までの余裕は5mmくらい。③未熟で不安定な足であるためにアーチを保持し、踵(かかと)を包み込む部分(カウンター)の構造がしっかりしている靴。④つま先立ちしたときに足の指の付け根の部分がしっかりと曲がり(踏み返しが十分できる)、踵が靴から浮き上がらないように、靴底が程よい屈曲性と弾性を持つこと。

 靴の買い替えは、足の成長のスピードを考えると1年に2回ほどが目安になります。こどもの足は未熟であり、大人の足に近づくための骨組みをしっかりとさせていく重要な時期でもあります。こどもの靴を選ぶ際に参考になれば幸いです。

 

279こどもの靴の選び方

中村俊介(鹿児島大学病院整形外科)