新型コロナウイルス感染症の流行により私たちの生活は大きく変化し、大人だけではなく子どもにも様々な身体や心の影響がみられています。特に2020年3月の一斉休校時には体重増加を認めた子どもが増え、その影響を実感しました。
子どもの肥満のほとんどは単純性肥満といって、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために生じます。小児期は成長にも大事な時期で成長を妨げない範囲のエネルギー補給が必要ですので、年齢に応じた適切な食事や運動が必要です。
具体例を挙げてみます。活動量が普通の10~11歳男児で、1日に必要な摂取エネルギーは2,250kcalです。このうち50〜60%は炭水化物で補う必要があり、1回の食事で摂取する適切な米飯の量は180〜200gです。これは大人用茶碗の一杯分に相当します。これにタンパク質、脂質、野菜や果物をバランスよく加えた食事が理想的です。食習慣で大事なことは朝食をぬかない、決まった時間に食事を摂る、ゆっくり噛んで食べることです。おかずを個々に分けて盛り付けることも食べ過ぎを防ぐのに有効です。
運動は1日1時間程度が必要と言われていますが、運動のためのまとまった時間を取る必要はなく、学校の休み時間に走り回ったり、階段を昇り降りしたりする時間も含まれます。
肥満は生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病、高血圧などの原因となり、将来的に心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。小児期の肥満は大人の肥満に移行しやすいことがわかっており、幼児期肥満の25%、学童前期肥満の40%が大人の肥満に移行します。
したがって小児期から肥満を防ぐことはとても大切です。また肥満の予防・改善には家族皆で取り組むことが大事です。家族で生活習慣を見直してみましょう。
こども医療ネットワーク会員
関 祐子(鹿児島大学病院小児科)