「この子、せきが長引くんです」と訴えて小児科を受診される方がいらっしゃいます。仮に本人が元気であっても、何か悪い病気が隠れているのではないかと不安を抱えて受診されるのだと思います。今回はこの「長引くせき」についてです。
最も多いのはいわゆる「風邪」です。特に保育園に行っている3歳未満児は風邪が治ってはまたかかりを操り返し、年中なんらかの風邪をもらっている子も珍しくありません。集団生活に入ったばかりの数か月に特に多くみられます。熱もなく元気であれば、せきが目立つ風邪が長引いている可能性が高く、特に心配しなくてよさそうです。
次に多いのは蓄膿といわれる「副鼻腔炎」によるせきです。頬の奥にある副鼻腔といわれる空間に炎症が起こり、うみがたまる病気です。せきと一緒に頭痛がある場合や、元々鼻炎があるときにはこれを疑います。
また、典型的ではありませんが「喘息」によるせきもあります。喘息はゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音が典型的ですが、まれにせきが目立つタイプもあります。小さい頃に気管支喘息の診断を受けたことがある、もしくは風邪をひくとぜいぜいしやすい場合には喘息によるせきの可能性があります。
他には「マイコプラズマ」や「百日ぜき」といったせきが目立つ感染症もあります。周りでこれらの診断を受けた方がいたり、診断はなくてもひどいせきがはやっていたりする場合、これらを疑うことがあります。せきで何日も眠れない、口から水分などをとる量が減ってきた、など心配なことがあれば受診してください。
せき自体はたんや異物を外に出す自然な反応であり、無理に抑える必要はありません。しかし、乳児でせきがひどくて眠れなかったり、授乳量が低下してしまう場合には注意が必要ですので、かかりつけの小児科医へご相談ください。
こども医療ネットワーク会員
関 俊二(国立病院機構指宿医療センター)