こども救急箱

vol.301 にきび

―ますは規則正しい生活を―

南日本新聞掲載日付 2022/05/06

にきびを経験したことがない大人はいないのではないでしょうか。にきびは思春期から青年期にかけてなりやすく、青春のシンボルともいわれます。大人になってできたものは吹き出物と呼ばれたりしますが、医学的には尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)という病名で、全く同じものです。

にきびの大きな原因は以下の三つがあります。①毛穴の詰まり②皮脂の過剰な分泌③アクネ菌の増殖です。にきびは毛穴の角質が厚くなったり、皮脂が過剰分泌されたりすることにより、毛穴の出口が詰まり皮脂がたまってしまい、アクネ菌が毛穴の中で増殖することによって引き起こされます。

また、思春期には男性ホルモンが増加することで皮脂が過剰に分泌され、にきびができやすいといわれています。他にもステロイドというホルモンの薬の全身投与を長期に行っている人では、にきびができやすいといわれています。

治療は従来からいわれているように、まずは規則正しい生活を送り、ホルモンバランスを整えることが大事です。また、顔をきれいに洗浄し、きれいなタオルで優しく拭き、汚れた手で触らない(いじらない)ようにしましょう。

にきび痕は残ったらなかなか消えず、鏡を見るのが嫌になったり、学校に行くことが嫌になったりと、日常生活に支障が出ることもあるかもしれません。

病院でもにきびの薬は処方できます。日本皮膚科学会が策定したにきび治療のガイドラインでは、アダパレンという毛穴の詰まりに効果があり、にきびをできにくくする塗り薬と、アクネ菌や炎症に有効な抗生物質の飲み薬や塗り薬を強く推奨しています。この薬が使われるようになってからは、元気な中高生の「ニキビづら」をほとんど見かけなくなったように感じます。近くの皮膚科や小児科をぜひ受診してみてください。

 

こども医療ネットワーク会員

中村 陽(鹿児島大学病院小児科)