こども救急箱

vol.304 動悸

―子どもの脈測る習慣を―

南日本新聞掲載日付 2022/08/26

「胸がドキドキする」と動悸を訴える子どもがいます。動悸といっても内容はさまざまで、すべてが心臓の病気とは限りません。例えば、大勢の人前で話す時ドキドキするでしょうし、緊張やストレスで交感神経が活発になると心拍数が上がります。これは正常な反応で病気ではありません。

緊張するような場面でないのに、頻繁にドキドキするのは病気のサインかもしれません。発熱や脱水、貧血、甲状腺の異常など心臓以外の問題がある可能性があります。思春期であれば、起立性調節障害という自律神経機能不全による一症状のこともあります。

ドキドキする時に病院を受診できれば原因が分かるかもしれません。受診時にドキドキしていない場合は、動悸の説明が大切です。①きっかけがあるか② 時間帯③自覚症状と持続時間④突然始まり突然止まるか、または徐々に始まり徐々に止まるか⑤脈拍数はいくらか、規則正しいか不規則かーなどです。

毎日のように症状が出るのなら、24時間記録できる心電図検査を行います。頻度が少ないようなら、病院から携帯型心電計を貸し出し、ドキドキする時に測定します。簡易的には、スマートウォッチ(腕時計型端末)も役立ちます。原因が不整脈と判明すれば、対応の仕方も分かります。不整脈には、心配する必要のない不整脈や、内服やカテーテル治療が必要なものあります。

子どもが胸のドキドキを訴えた時、まずは脈を測ってみましょう。大人と同じように手首の親指側に指を当てて測ります。分かりづらい時は、子どもの胸に直接耳を当てて胸の鼓動を数えます。普段との比較になるため、気になる場合は、子どもの脈を確認する習慣を身に付けておくといいでしょう。

 

こども医療ネットワーク会員

二宮由美子(国立病院機構鹿児島医療センター)