こども救急箱

vol.311 食物アレルギー

―ナッツ 初めは注意を―

南日本新聞掲載日付 2023/03/31

ナッツとは木の実のことを指し、クルミやカシューナッツ、アーモンドなどがあります。一方ピーナツ(落花生)はマメ科の植物で、土の中で育つのでナッツとは異なります。ナッツアレルギーでもピーナツを食べられることがあり、その逆もしかりです。

また、1種類のナッツにアレルギーがあるからといって、全てのナッツがアレルギーとは限りません。ですが、クルミアレルギーがあると同じクルミ科に属するペカンナッツ、カシューナッツアレルギーがあると同じウルシ科に属するピスタチオにもアレルギーを起こすことがあるので注意が必要です。

今まで食物アレルギーの原因は鶏卵、牛乳、小麦の順に多かったですが、最近の全国調査では、ナッツが小麦を抜いて第3位に浮上し、中でもクルミがずばぬけています。クルミによるアレルギー症状はアナフィラキシーショックなどの重篤な症状が多いため、加工食品のアレルギー表示が義務付けられている食材は現在のエビ、カニ、小麦、そば、卵、乳、落花生の7品目からクルミを追加した8品目となる予定です。

クルミアレルギーが増えている原因は明らかではありません。美容・健康意識の高まり、輸入量の増加を受け、食べる機会が増えたことが原因の一つと言われています。クルミは食用油、ドレッシング、パン、カレー、マカロン、杏仁豆腐などさまざまな食品に使用されるようになりました。

ナッツアレルギーは、アトピー性皮膚炎がある人のほか、すでに鶏卵、牛乳、小麦などの食物アレルギーのある人に起こりやすい傾向があります。初めて食べさせるときには小児科医に相談するか、粉末やペーストなど少量から食べさせてみましょう。

 

こども医療ネットワーク会員

吉川 英樹(霧島市医師会医療センター小児科)