新生児マススクリーニングは、治療法のある疾患を早期に発見し、早期の治療により障がいの発生や突然死を防ぐことを目的とした検査です。これは以前より「先天性代謝異常等検査」という名称ですべての子どもが受けています。
医学の進歩とともに、治療方法ができ、早期治療が望ましい疾患が新たに出てきました。これらの疾患を従来の新生児マススクリーニングに追加した検査を「拡大新生児マススクリーニング検査」と呼んでいます。
鹿児島県において新たに追加された疾患の一つが脊髄性筋萎縮症(SMA)です。SMAは難病に指定されている疾患です。脊髄にある神経細胞が失われて、体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮が進行していきます。これまで病気の進行を止める治療法がありませんでしたが、医学の進歩によって神経細胞が失われる状況を止める治療薬が開発されました。
SMAは進行性の病気で、一度進行した症状は元に戻ることが難しいとされています。しかし、治療が早ければ早いほど、治療効果が高いことがわかっています。症状が出現して病院を受診し診断されてから治療するよりも、無症状に見える段階で診断・治療することで高い治療効果が期待できます。
従来の新生児マススクリーニングで使用する血液の一部を使って検査を行うため、赤ちゃんへの追加の負担はありません。ただし、本検査に係る費用等は自己負担になります。
検査を受けるかどうかは保護者様の自由意思で決められます。検査を受ける際には不安に思う方もいるかもしれません。しかし、治療法のある病気ですので、ぜひ検査を受けていただければと思います。またSMA家族の会でもこの疾患や検査のことを情報発信していますので、ホームページをご覧ください。
こども医療ネットワーク会員
丸山慎介(鹿児島大学病院小児科)