子どもが食べ物を喉に詰まらせて窒息する事故が相次ぎ、不安に思っている保護者の方も多いのではないでしょうか。食べ物が食道ではなく、誤って気道に入ってしまう「誤嚥」は、子どもの窒息事故を引き起こす大きな原因の一つです。
誤嚥を防ぐには子どもの「食べる力」を理解する必要があります。離乳食が始まる5、6ヶ月頃は、かんだりつぶしたりはできず、離乳食を飲み込みます。徐々に舌や歯茎でかんだりつぶしたりできるようになり、歯が生えてくると前歯でのかじり取りや奥歯でのすりつぶしができるようになります。歯が生えそろった3歳頃でも、大人と比べてかんだり飲み込んだりする力が弱く、丸飲みにすることで窒息につながる可能性があります。市販品の対象月齢はあくまで目安であり、その子に合った固さや形態か、与える前にもう一度考える必要があります。
「窒息を起こしやすい食品」は、与え方には注意が必要です。①ブドウやプチトマトなど丸くてつるっとしたものは4分の1以下に切ってから与える②唾液を吸収して飲み込みにくくなるパンやサツマイモは、同時に水分を取る③肉やリンゴなどの固くかみ切りにくいものは小さく切ったり加熱をしたりする―など食べやすくする工夫をしましょう。
「食事の時の行動」も大切です。一口の量を多くしない、口の中のものを飲み込んでから次を与えることが必要です。歩きながら食べたり、走り回って食べたり、寝転んだまま食べたりするのはよくありません。口の中に食品がある時はびっくりさせないことや、きょうだいの上の子が乳幼児に危険な食品を与えてしまわないように環境を整えることも大切です。
窒息を起こしうる原因を知って減らす工夫をし、事故を予防しましょう。
こども医療ネットワーク会員
榎木 美幸(鹿児島県立大島病院小児科)