食べることは、生きること。人を良くすると書いて「食」になります。私たちの周りには「食」にまつわる言葉がたくさんあり、生活と「食」を切り離すことは困難です。そんな「食」の安全を脅かす病気があります。食中毒です。
食中毒は、病原微生物や有害物質を含む飲食物を摂取した結果起こる健康被害です。一般的な症状として、吐き気、おう吐、腹痛、下痢が挙げられ、発熱を伴う場合もあります。
細菌やウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫によって起こり、発症までの期間や症状もさまざまです。
症状が強ければ病院での治療が必要になることもありますが、原因が何であっても、食中毒を起こさないようにする予防がとても重要です。
食中毒の予防には心がけたい3原則があります。細菌やウイルスを「つけない」「ふやさない」「やっつける」です。
「つけない」ためには調理する人の手はもちろん、調理器具などの洗浄も欠かせません。最近は汚染されたエコバックを使い続け、菌が食品に付着してしまうこともあるようです。エコバックも定期的に洗うようにしましょう。
細菌は高温多湿の環境で活発に増殖するので、「ふやさない」ためには低温で保存することが重要です。テイクアウトやデリバリーによる食中毒も増加傾向のため、適切な温度管理と衛生意識の徹底が大切です。
ほとんどの細菌やウイルスは、熱を加えることで「やっつける」ことができます。しっかり加熱調理するのはもちろんですが、肉や魚、卵などを使った後の調理器具も洗剤でよく洗ってから、熱湯をかけると病原微生物を死滅させることができます。
食中毒の予防に努め、楽しく安全な食生活を送りましょう。
こども医療ネットワーク会員
塩川直宏(種子島医療センター小児科)