学校心臓検診は、学校保健法に基づき小中高校の1年時に実施しています。進学で環境が変わる節目に、隠れた心臓病を発見し、運動や部活動を安全に行うこと、学校での突然死を防ぐことなどが目的です。
一次検診は、学校で対象学年の全員が受けるもので、昨年の鹿児島県内受診者は1万5847人でした。
二次検診は、一次検診で異常の疑いがあると判断された子どもに、医療機関でエックス線写真や超音波検査などで精密検査をするものです。昨年の精密検査受診者は281人で、そのうち44人が継続して通院を必要と診断されました。
一次検診は問診票の記載と心電図で行います。私たち小児循環器医が小中学生を、循環器内科医が高校生をそれぞれ担当します。
対象者の波形は全て、2名以上の検診担当医師で確認します。問診票には、これまでに心臓の病気にかかったことがあるか、息切れ、動悸、胸痛などの症状があるか、家族に突然死した人や心臓病がある人がいるかなどを書くようになっています。
心電図波形が異常とされない場合でも、問診票の記載で病気が疑われる時は二次検診で異常が見つかる場合がありますので、問診票を正しく記載をすることが大切です。
このように少数ではありますが病気の可能性を指摘され、一部に運動で突然死の危険があると診断される子どももいます。診断されても、運動管理や治療を受けることで、安全に生活できますので、学校心臓検診の役割は大きいのです。
学校心臓検診で病気と診断されると、戸惑い、混乱すると思いますが、不安なことがあったら小児循環器医に相談してください。子どもが安全で快適な学校生活を送れるよう、一緒に考えましょう。
こども医療ネットワーク会員
川村順平(鹿児島大学病院小児診療センター)