包茎とは、おちんちんの皮(包皮)がひっくり返らず、亀頭が露出できない状態です。幼少期にみられる生理的な包茎と、炎症などで包皮が硬くなる病的な包茎があります。
通常、新生児の包皮は亀頭と生理的に癒着しているため、むくことはできません。3、4歳ごろになると、包皮と亀頭との間に生理的なあか(恥垢)がたまるようになり、これによって癒着が剥がれ、やがて勃起を繰り返すことで包皮がむけるようになります。
この恥垢は、亀頭の周囲の包皮に透けて白い塊で見えることがありますが、生理的なあかですので無理に包皮をむいて除去する必要はありません。生理的な包茎の自然経過について、日本人を対象にした報告では、生後1〜3カ月では包皮を全くむくことができない子どもが88.5%に上るのに対して、3歳では35.0%まで減少するとされています。
病的な包茎の代表的なものとして、亀頭包皮炎、閉塞性乾燥性亀頭炎(BXO)、嵌頓包茎があります。
亀頭包皮炎は、包皮と亀頭の間に起きる細菌感染による炎症で、包皮が赤く腫れて膿が出ることがあります。抗生剤の外用薬や内服で治療しますが、繰り返す場合は、ステロイド外用薬を併用して、包皮を少しずつむく指導を行います。
BXOは、炎症で包皮の先端が白く硬くなります。この場合は、成長しても自然に包皮がむけてこないので、手術により硬くなった包皮を切除することをお勧めしています。
嵌頓包茎は、狭い包皮をむいたままにしていたことで、むくみにより元に戻せなくなる状態です。著しい包皮の腫れや痛みを伴います。手で元の状態に戻せない場合は、緊急手術が行われます。
これらの病的な包茎が疑われる場合は小児科や泌尿器科に相談してみてください。
こども医療ネットワーク会員
井手迫俊彦(済生会川内病院泌尿器科・小児泌尿器科)