こども救急箱

vol.330 経口補水療法 

―脱水症でも吸収しやすく―

南日本新聞掲載日付 2024/10/25

経口補水療法は、経口補水液を口から摂取して行う治療です。子どもの軽度から中等度の脱水症に対して推奨されています。

口から飲んだ水分は、おなかの中でナトリウムや糖分と一緒に体内へ吸収されることが分かっています。この仕組みを利用したもので、点滴に比べて負担が少ない治療法とされます。

経口補水液は、スポーツ飲料と同じように主に水分、ナトリウム、糖分で作られていますが、スポーツ飲料よりも、おなかの中で吸収されやすい濃度に調製されているのが特徴です。

 脱水症は、体にとって重要な水分やナトリウム等のミネラルが失われた状態で、元気がなくなったり、顔面蒼白になったりします。ひどくなると意識障害やけいれんを起こすため、早めの対応が重要になります。

子どもが脱水症を引き起こす代表的な病気は、嘔吐下痢症です。嘔吐がみられる時でも、口に少し含む程度の水分であれば吐かずに飲める場合があります。少量の経口補水液を5分おきに、繰り返し摂取することをお勧めします。下痢の時でも飲んだ水分がそのまま下痢になって出ていくわけではないので、繰り返し経口補水液を摂取することが必要です。

 乳幼児は経口補水液の味に慣れておらず、飲んでくれないことがあります。どうしても摂取できない時は、代わりにスポーツ飲料を試してみましょう。それでも飲んでくれない場合は、ナトリウム濃度は低くなりますが、りんごジュースがいいかもしれません。水や麦茶よりはナトリウム濃度が高く、糖分も含んでいます。

経口補水療法がうまくいかない時は念のため、病院を受診して点滴が必要かどうかを判断してもらいましょう。

 

こども医療ネットワーク会員

柳元孝介(ひだまりこどもクリニック院長)