川崎病は4歳以下の乳幼児に多く見られ、全身の血管に炎症を引き起こす原因不明の病気です。①高熱、②両側の眼球結膜の充血、③真っ赤な唇とイチゴのような舌、④発疹、⑤手足の紅斑と腫れ、⑥首のリンパ節の腫れの6症状のうち5つ以上、または4つの症状に加えて心臓の冠動脈に病変がある場合に川崎病と診断されます。小さなお子さんではBCGを注射した場所が赤く腫れることも特徴的な症状の一つです。
川崎病で最も問題となるのは、心臓に栄養素や酸素を送る血管である冠動脈に、動脈瘤(こぶ)が形成されることです。急性期の強い炎症反応をできるだけ早く抑え、冠動脈瘤の発生を防ぐことが重要です。
治療には免疫グロブリン療法とアスピリン療法が行われますが、約20%の患者で治療の効果が十分に得られない場合があります。その際は、ステロイドやシクロスポリン、インフリキシマブなどの免疫抑制剤を併用することがあります。治療法の改善により、近年では冠動脈瘤の後遺症は約1~2%にまで減少しました。
冠動脈に後遺症が残った場合、長期間にわたりアスピリンやワルファリンなどの血液をサラサラにする薬を服用し、定期的に心臓超音波検査を受ける必要があります。冠動脈が正常に戻れば薬の服用を中止できますが、動脈瘤が残った場合は継続的な治療が必要です。
また、川崎病に似た症状を示す病気には、溶血性レンサ球菌感染症、アデノウイルス感染症、エルシニア感染症、若年性特発性関節炎などがあり、診断には慎重な判断が求められます。お子さんが発熱し、不機嫌な状態が続き、目や口、腕や手のどこかに赤みが見られる場合は、早めに小児科を受診し、医師に相談してください。
こども医療ネットワーク会員
上野健太郎(鹿児島大学病院小児科)